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Cute Movies

アリスのままで

すべての記憶を失う若年性アルツハイマー病と宣告されたら、 あなたならどうしますか──?

6月27日(土)より全国ロードショー<br>(c)2014 BSM Studio. All Rights Reserved.
6月27日(土)より全国ロードショー
(c)2014 BSM Studio. All Rights Reserved.
監督: リチャード・グラツァー ウォッシュ・ウエストモアランド
製作:  レックス・ルッツス ジェームズ・ブラウン パメラ・コフラー

キャスト
ジュリアン・ムーア   アレック・ボールドウィン クリステン・スチュワートリディア
ケイト・ボスワースアナ ハンター・パリッシュトム

【ストーリー】

アリスがアリスのままでいられるまで、あとわずか
夫と子供たち、そしてアリス自身が選んだ道とは──?


 高名な言語学者として知られ、ニューヨークのコロンビア大学の教授を務めるアリス(ジュリアン・ムーア)は、50歳になったその日、最高の誕生日を迎えた。夫のジョン(アレック・ボールドウィン)は、「僕の人生を通じて、最も美しく最も聡明な女性に」と愛のこもった乾杯の挨拶をしてくれた。法科大学を卒業した長女のアナ(ケイト・ボスワース)と彼女の夫チャーリー(シェーン・マクレー)、医学院生の長男のトム(ハンター・パリッシュ)もお祝いに駆けつける。オーディションがあるからと顔を見せなかった、ロサンゼルスで女優を目指す次女のリディア(クリステン・スチュワート)だけがアリスの心配の種だった。
 ところが、そんなアリスに異変が起きる。UCLAに招かれて講演中に、突然言葉が頭から抜け落ちたのだ。それでもその時は、帰る前に会う約束をしていたリディアのことの方が気掛かりだった。アリスは娘に大学進学を勧めるが、「私は自分の人生を生きているの」と頑なに拒絶される。
 異変は続いた。今度はキャンパスをランニング中に迷ってしまった。アリスは医学博士のジョンにも内緒で神経科を訪ね、脳の検査を受ける。脳血管に異常はなかったが、症状がアルツハイマー病と合致するので、詳しい検査を受けることになる。不安に押しつぶされたアリスは真夜中にジョンを起こし、「人生を捧げてきたことが何もかも消える」と泣きながら打ち明ける。「何があっても僕がついている」と夫に励まされるが、アリスの恐怖が消えることはなかった。
 ジョンに付き添われて病院を訪れたアリスは、若年性アルツハイマー病を宣告される。もしも家族性ならば、子供たちに遺伝する確率は50%、発症は100%だと言われ、言葉を失くすアリス。彼女の母は事故で早くに亡くなり、アルコール依存症だった亡き父とは疎遠だったせいで、今まで気付かなかったのだ。
 アリスの告白に呆然とする子供たち。数日後、アナは陽性でトムは陰性と判明する。リディアは検査を拒否していた。人工授精を予定しているアナは「検査もできるし、赤ちゃんは大丈夫」と気丈に語るが、その声は震えていた。
 現代の医学では、進行は防げない。学生から「散漫な授業」「不安定でムラがあった」と不満が殺到し、アリスは大学を辞めざるを得なくなる。夫との約束もすぐ忘れ、「癌だったらよかった。恥ずかしくないから」と嘆くのだった。
 夏の休暇を過ごすため、海辺の避暑地を訪れた時、アリスの体調は安定していた。アリスはジョンに「私が私でいられる最後の夏よ」と告げるが、ジョンはまだ現実に向き合えずにいた。今のアリスには、双子の妊娠を叶えたアナの出産とトムの卒業、そしてリディアの安定した将来を見届けることが目標だった。

 認知症の介護会議でスピーチをすることになったアリスは、リディアのアドバイスに従って、「私は闘っています、自分であろうとして。だから瞬間を生きています」と、自分の気持ちを素直に表した感動的な原稿を読み上げ、会場は温かな拍手に包まれる。
 だが、アリスがすべての記憶を失くす日が近付いていた。パソコンを操作していて、彼女はある映像を見つける。「アリス、私はあなたよ。大事な話があるの」と始まった、かつての自分から今の自分への“アリスのままで”いるためのメッセージとは──?
【見どころ】
この作品は、映画ファンの方々にとっては待望の日本上陸となる。それはこの映画が、本年度アカデミー賞の主演女優賞作品だからだ。アカデミー賞授賞式からおよそ4ヶ月を経て、ついに『アリスのままで』が日本で公開となる。

日に日に記憶を失っていく様子をただ淡々と描くことで、アルツハイマー病が生活を蝕んでいく様を生々しく感じた。この映画のためにあらゆる段階にいるアルツハイマー患者と会話をしたというジュリアン・ムーワの演技に、どんどん魅きこまれていった。全編を通してアリス目線で描かれていることにより、人生をかけて積み上げてきたものを失っていく恐怖を強く感じる。

また、アルツハイマーが周囲に及ぼす影響をも描いている。現実から目を背け、病を信じようとしない人と、現実と向き合い残り少ない時間を大切に過ごそうとする人。果たしてこの状況で自分がどうするかを考えると、胸が痛くなる。

淡々とアルツハイマーが進行していく様を描いた本作品。淡々としているからこそ、ラストシーンでのアリスの言葉が胸に染み渡る。アリスの中に最後に残ったものとは、はたして。

Text by EISUKE